前回の記事 「つづり字記号(アクサン)の種類まとめ」 では、フランス語にある5つの記号の全体像と、発音に影響する/しない/意味を区別する という3つの視点で紹介しました。、
この記事では、その中でも “音” と “意味” の両方に大きな役割を持つアクサン・グラーヴ(accent grave) を取り上げ、特徴・発音・例をわかりやすく解説します。
アクサン・グラーヴとは何か?
アクサン・グラーヴとは、È / À / Ù のように
右下がりの小さな線がつく記号のことです。
e / a / u の上につきますが、その働きは 2種類 に分かれます。
- ① e につくと「発音が変わる」
- ② à / ù につくと「意味が変わる」(発音は同じ)
「grave」はフランス語で “重い” という意味があり、やや低く・長く発音します。
アクサン・グラーヴの特徴(基本ルール)
アクサン・グラーヴには、次のような特徴があります。
e につく場合:発音が変わる(重要)
e(ウに近い弱い音)
→ è(口を横に開いた、やや長いエ)
a / u につく場合:発音は変わらない
à, ù は、発音はそのまま
→ 意味だけ変わる別語として扱われる
記号の方向
右下に向かって傾く線(È)
アクサン・グラーヴの例(発音に影響するもの)
まずは e の場合です。定冠詞の男性形単数は、le(ル)です。eになにもつかないと[ウ]の音です。
母を意味するフランス語は、mère(メール)です。eにアクサン・グラーヴがついていますので、こちらは、[エ]の音になります。
- le(ル):弱い曖昧母音
- mère(メール):è で「エ」が明確になり、少し長い音
そのほかの例:
- très(トレ)
- père(ペール)
- après(アプレ)
- crème(クレーム)
どれも「エ」をはっきり出すためのアクサンです。
アクサン・グラーヴの例(意味に影響するもの)
à ù は、発音に影響せず、意味に影響します。意味に影響するわけですから、アクサンをつけて、ひとつの異なる単語として考える必要があります。
à(前置詞) vs a(avoir の三人称)
- a:il a(彼は持っている)
- à:à Paris(パリに)
意味がまったく異なるため、別の単語として覚える必要があります。
où(どこ) vs ou(または)
- ou:または / or
- où:どこ / where
発音は同じですが、役割は大きく異なります。
学習者がつまずくポイント(初心者向けのアドバイス)
è(エ)と é(鋭いエ)が混ざりやすい
→ è は “低く長いエ”、é は “鋭く短いエ”
à / a の書き分けを忘れがち
→ 文の意味が変わるので要注意(テストでも減点対象)
曖昧母音 e がそもそもイメージしづらい
→ ce(ス)と cè(セ)を比べると定着しやすい
まとめ(要点3つ)
- アクサン・グラーヴは e の音を「低く・長いエ」に変える記号
- à / ù は 意味を区別するための記号
- 単語は アクサンまでセットで覚える のが基本
アクサン・グラーヴは、あるかないかで意味も音も変わる大切な記号です。
最初はむずかしく感じるかもしれませんが、音読しながら少しずつ慣れていけば必ず身についていきます。あせらず進んでいきましょう。
関連リンク(アクサンシリーズを続けて読む)
アクサン・グラーブが理解できたら、他のつづり字記号との違いも見ておくと理解が深まります。
▶︎ アクサン・テギュ(é)
▶︎ アクサン・シルコンフレックス(â ê î ô û)
▶︎ トレマ(ë ï ü)
▶︎ セディーユ(ç)
▶︎ 【まとめ】つづり字記号(アクサン)の種類と意味
もっと深く理解したい方へ
アクサン・グラーヴには、歴史的な由来や語源、現代フランス語での “音のニュアンスの差” など、教科書では触れられない奥行きがあります。
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「音の感じがどう違うの?」と気になったタイミングで、開いてみてください。
— ABC French

