フランスのスーパーで手軽に買えるお菓子といえば、LU(リュ)。
赤いパッケージと、どこか懐かしい味わいで、現地でも長く愛され続けているブランドです。
この記事では、フランス生活で見つけたお気に入りのLUのお菓子とともに、その歴史や、印象的なCMなどブランドの魅力についてもご紹介します。おうちに常備したくなる、フランスならではのおやつ時間をのぞいてみませんか?
LU|Petit écolier(プチ・エコリエ)
最初に紹介するのは、私がはじめてフランス留学をした高校生のとき、ステイ先の子が食べていたお菓子で、私が初めて食べたフランスのお菓子でもあります。それ以来、お気に入りのお菓子で、今回のフランス生活でも購入し食べてみました!
種類は、ミルクチョコ味とブラックチョコ味、それにすごーく甘い濃厚ミルクチョコ味とがあります。私が一番好きなのは、ミルクチョコ味です。そういえば、前回15年以上前に大学院留学をしていましたが、その時はお菓子制限を頑張っていて、プチエコリエは食べなかった記憶があります。
それから、フランス語学習的には、この商品名のカタカナ日本語表記はわかりやすく書いていますが、正しいフランス語発音では、リエゾンするので「プチテコリエ」です。意味は、「ちいさな小学生」。
- 「Petit(小さい)」は単独だと【プティ】と読むけど、
- 次に来る「Écolier(小学生)」のÉが母音で始まってるから、
👉 **リエゾン(語尾の子音[t]を次の単語にくっつけて発音)**する!
ビスケットに描かれている少年は、「ちいさな小学生」なのかなぁと思いますが、衣装が現代風ではないですね。歴史が感じられて、魅力的です。
- ビスケットに描かれている少年は、
19世紀末〜20世紀初頭のフランスの小学生をイメージしていると言われている。 - 服装も、当時のフランスの小学校で一般的だった
ベレー帽+ジャケット+半ズボンスタイル(ちょっとフォーマルな制服風)。
Petit écolier|ミルクチョコ味 (chocolat noir)

定番中の定番は、このミルクチョコ味です。パッと目を引くLUの赤いロゴマークに、ミルク味をイメージさせる水色との配色で、トリコロールを感じさせ、フランスらしいお菓子だなぁと思います。
日本のブルボンのアルフォートに似ているお菓子ですが、ビスケットはフランスのプチエコリエのほうがサクサクしていて、チョコも濃い感じがします。アルフォートの濃紺の定番の味に比べると、ミルクっぽさは結構するかもしれませんが、いちばん似ているのはこのミルクチョコ味だと思います。
アルフォートのミルク味は、ものすごくチョコっぽさが失われていて、私はあまり好きではありませんし、フランスのLUのどの味にも似ていないことは確かです。
Petit écolier|ブラックチョコ味 (chocolat au lait)

ブラックチョコは、ヘルシー志向の人には人気ですよね。わたしもチョコ好きなので、気をつけようと思ってブラックチョコをよく食べます。フランスのチョコは、カカオがしっかりとしていて、食べ応えあり、このブラックチョコ味もそのニーズを満たしてくれます。
今回久しぶりに食べてみて、ミルク味と同じくらいこのブラック味も好きだなぁと思いました。カカオがしっかりしている分だけ、満足感があるなと言う感じでした。
*私はまだ食べたことのない「ホワイト味」もあるそうなので、今度買ってまたリポートしたいと思います。
Petit écolier|濃厚ミルク味 (tendre coeur)

最後にこちらの商品は、大人向け商品として最近発売されたそうですが、これに似ている商品が昔あったように記憶しています。高校生のとき初めての渡仏で食べて、思いっきり甘くて、当時は大好きになってお土産に持って帰ったくらい好きだったのですが、高校の同級生からは「甘い!!」という反応だったのを覚えています。
大学生になってから2回目の語学留学をしたときは、本当にしょっちゅうこのプチエコリエシリーズを食べていて(その他のお菓子もたくさん食べていた)、かなり太りました。
でも、この甘さが勉強をしている脳を休ませてくれるのです。なので、今回あれから30年ほど経っていますが、当時を思い出しながら食べてみました!やはり「甘い!!」でも、頭をたくさん使った時などに、ピンポイントで食べたりすると幸せなひとときになります。
ミルクチョコ味のプチエコリエのチョコの中に、濃厚ミルクが入っているのですが、練乳のようなものが入っているイメージです。甘いけど美味しい、そんな感じです。
Petit écolier|おすすめポイント!
なんといっても、このお菓子には歴史あり、フランス人の愛するお菓子であり、フランス人にとっては一人一人の思い出が詰まっていそうなお菓子です。留学生であった私ですら、プチエコリエを食べると当時を思い起こすことができるくらい!
美味しいのはさることながら、このお菓子の抜群に評価できるポイントは、「保存料も着色料も使っていません」ということです。
・sans conservateur ni colorant
sans=〜なしで
conservateur=保存料
ni=〜も〜もない(英語でいう”neither…nor…”)
colorant=着色料
フランスのお菓子って、美味しいだけではなくて安心なのもおすすめなポイントの一つです。
LU|ブランドストーリー
フランス・ナント生まれの老舗ビスケットブランドであるLU(リュ)は、1846年、ジャン=ロマン・ルフェーヴル(Jean-Romain Lefèvre)とポリーヌ・イザベル・ユティル(Pauline-Isabelle Utile)の夫婦がナントに小さな菓子店を開いたところから始まりました。
ブランド名|創業夫婦の頭文字から
二人の名前「Lefèvre」と「Utile」の頭文字をとって、「LU」というブランド名が誕生したそうです。当初は手作りのビスケットやパイ菓子を販売していましたが、フランス国内で次第に評判を高め、19世紀後半には産業革命による技術革新も追い風に、工場での大量生産体制を整えていきます。
LU|広告

LUは、単にお菓子を作るだけではなく、ポスター広告やパッケージデザインにもいち早く力を入れたブランドとしても知られています。特にアール・ヌーヴォー様式の広告ポスターは、当時のフランス文化を象徴する存在となりました。
右は、1897年にフィルマン・ブワセ(Firmin Bouisset)によって描かれた「プチ・エコリエ(Le Petit Écolier)」のポスター
左は、1896年にアール・ヌーヴォーの巨匠アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha)によって描かれた「ビスキュイ・ルフェーブル=ユティル(Biscuits Lefèvre-Utile)」のポスター
現在もLUは、「Petit Beurre(プチ・ブール)」や「Petit Écolier(プチ・エコリエ)」をはじめ、多くのロングセラー商品を持つ、フランス人の生活に根付いたブランドです。赤と白のロゴは、今もスーパの棚でひときわ目を引き、世代を超えて愛され続けています。
LU|CM
フランスのCMは、ストーリー性があることが多いですが、このLUのCMは映画のワンシーンのような描写と美しい音楽で、しっとり感動を誘います。
まずは、試聴してみてください!(フランス語学習をしているひとは、リスニングに挑戦!)
📍解説:
LU「une part de nous」の東京バージョンについて
テレビCMへの復帰にあたり、新たな広告代理店Publicisとともに、LU(1846年創業のビスケットメーカー)は、感動と繊細さにあふれるブランドフィルムを発表しました。
この映像は、Chris Fowles(Prodigous制作)によって手がけられ、舞台は東京。主人公は、東京で生活を始めた若いフランス人留学生です。
彼が慣れない土地で文化に戸惑いながらも新しい生活を送る一方、故郷の母親は、寂しさを募らせる息子と彼を恋しがる弟のために、セーターを編み、少しでも家の温もりを届けようとします。
荷物を受け取った息子は、箱を開けて感激します。母への電話で感謝の気持ちを伝えますが、そのセーターの下には、弟がこっそり忍ばせた「プチ・エコリエ(Petit Écolier)」のビスケットが入っていたのでした。
この小さなサプライズが、遠く離れた場所で感じるホームシックを癒し、幼い頃のおやつタイムや家族とのかけがえのない思い出を思い起こさせます。
それはまさに、「私たち自身の一部(Toute une part de nous)」を伝えるストーリーなのです。
(参考)
私にとってですら、プチエコリエに思い出が詰まっていますので、日本(東京)に留学するフランス人が母国を思い出して懐かしがる気持ちがひしひしと伝わってきます。
ここで、このブランドが伝えたいことは、このお菓子は単なる間食ではなく、家族や思い出、愛情といったものを届けてくれるものだ!ということです。ストーリーがありますよね。「プチ・エコリエ」は、LUの中でも特に長年愛されているビスケットです。小さなチョコレートプレートの上に、学校に通う少年(小学生)が描かれていて、「子どもの頃のおやつ」「家族との思い出」の象徴となっています。
このCMは、もともと2024年にスタートした「Toute une part de nous」キャンペーンの一環です。「お菓子を食べる時間は、単なる間食ではなく、家族や思い出、愛情といった“私たちの一部”を運んでくれる瞬間」というメッセージを込めて展開。
→ フランス国内だけでなく、海外にいるフランス人の心にも響くように作られたと言われています。
撮影は実際に日本(東京)で行われ、現地のリアルな生活感や雰囲気も大切にされているとのことです。
言葉と文化の研究をしている私にとって、このブランドストーリーはかなり使える題材です!フランス生活、博士号取得まで頑張っていきたいと思います!