2024年12月7日、フランス・パリのノートルダム大聖堂が再開しました!2019年4月の大規模火災から5年8カ月ぶりということです。記念式典とコンサートについて、そして、私が最も感動したフランスの歌手ヴィアネ(Vianney)の「ハレルヤ」、その他、ユゴーの詩の朗読、国歌「マルセイエーズ」などを紹介します!
2024年はフランスにとって、歴史的な年だったのではないでしょうか。7月にはオリンピック、そして12月には、ノートルダム大聖堂の再開です!
ノートルダム大聖堂|再開セレモニー
この動画は、フランス大統領府が公式に出している再開セレモニーのフルムービーです。
(フランス現地時間:)
2024年12月7日(土)
19時:5年間の修復ドキュメンタリーの上映
19時20分:大統領あいさつ
19時40分:ノートルダムの扉が開かれる
20時15分:宗教セレモニー
20時30分:コンサート
全体を通してみるのも、雰囲気だけみるのも、すごくいいですが、わたしが注目したのは大統領スピーチです。あとでゆっくり、全文に目を通したいと思います。
53:25 大統領スピーチ
マクロン大統領のスピーチですが、歴史と文化をさりげなく取り入れていることにさすがフランス大統領スピーチだなぁと感心してしまいました。
マクロン大統領は再開式典で「フランス国民の感謝(la «gratitude de la Nation française»)」を表明。
こういうところに注目すると「先生、マクロン大統領のこと好きなんですか?」と学生たちに聞かれたりしますが、政治的な立場で支持しているかどうかはさておき、マクロン大統領は同じ世代なので、私がフランス留学をしていた大学生、大学院生のころ「マクロンもフランスで学生していたんだなぁ」と考えると親しみがわいているのは事実ですね。
わたしがフランス語を学び始めた頃は、シラク大統領の頃、留学してた時は、オランド、サルコジと続いて、博士課程を終え、働き始める頃にはマクロンが大統領になっていたのかな。同じ世代を生きている、同じ風景を見てきた感じがすごくします。
アドベント期間に再開!
まず、この歴史的な再開の日をキリスト教にとって最も大切なアドベント期間(クリスマス=キリストの誕生日を祝う準備をする期間)にあわせているところがなんとも、素晴らしい計らいです。
2024年の第1アドベントは12月1日、そして、第2アドベントは来たる12月8日です。
2024年12月7日の式典には、フランス・マクロン大統領のほか、トランプ次期米大統領、ウィリアム英皇太子、ウクライナのゼレンスキー大統領ら世界からの招待客、国内外の教会関係者、市民が招待され、修復したばかりの大聖堂に2000人あまりが参列しました。
大司教の衣装は、ジャン・シャルル・ド・カステルバジャック(Jean-Charles de Castelbajac)が手がけたとのこと。さすがフランス、ファッションの国です。(45秒前後のところで確認できます)
2024年12月8日(第2アドベントにあたる日)には、再開後初めてとなるミサが開かれました。そして、平和を願う祈りがささげられました。
フランスの大学院に留学していたときには、ステュディオという、いわゆるワンルームに住んでいましたが、本当にすぐ近くに有名な教会があったので、鐘の音を聞くとその頃のことを思い出します。
わたしはこの日、日本にいたのでリアルタイムでこの再開の式典とコンサートを見ていたわけではありません。コンサートについては、断片的にいろいろな世界的なアーティストがこの日の再開をお祝いした、素晴らしいパフォーマンスがされたことを日本から観ていました!
そこで、私が最も感動した曲をまず最初に紹介したいと思います。
ヴィアネ|ハレルヤ(Vianney : Hallelujah)
フランスのシンガーソングライターVianney(ヴィアネ)が、このノートルダム大聖堂の再開のために、フランス語で歌詞を書いたという「ハレルヤ」の熱唱です!もともと好きな歌手でしたが、特に今回は本当に魅力的で、崇高な魅力があふれていて、感動しました。
フォーマルな大舞台に、飾らないいつもの姿で、魂のこもった本当にあたたかい歌声です。そして、このリオープニングした大聖堂のなかで、オーケストラとともに、素晴らしいパフォーマンスでした。たくさんの人にこの感動をお届けしたいなと思います。
今年さいごの大学のフランス語の授業の中でも、学生たちにこの曲を聴いてもらいました。すごく感動したという学生たちもたくさんいたので、聴かせてよかったなと思っています。
ヴィクトル・ユゴー|「橋」(Victor Hugo : Le Pont)
ヴィクトル・ユゴー(Victor Hugo)はフランス19世紀の詩人、小説家です。小説『ノートルダム・ド・パリ』(Notre-Dame de Paris)は有名ですね。『レ・ミゼラブル』はもっと有名かもしれません。
そのユゴーの詩の朗読をするシーンをセレモニーのなかに組み込むところは、やはり、文化をなにより大切に考えるフランスらしさです。こういったクラシックなフランス文学の基本的な知識、あるいは「教養」は、フランス語を学ぶ方たちにとってすごく大切な要素であると私は考えています。
セレモニーでは、ユゴーの「橋」(Le Pont)という詩をフランスの女優マリオン・コティヤール(Marion Cotillard)が朗読しました。ヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)のチェロ演奏とともに。とても豪華ですね!
ダニエル・ロザコヴィッチ|G線上のアリア
もうひとつの注目ポイントは、クラシック音楽の演奏です。スウェーデン出身のヴァイオリニスト:ダニエル・ロザコヴィッチ(Daniel Lozakovich )による「G線上のアリア」は、甘美な演奏でした。
いろいろな国のアーティストが参加しているのもこのコンサートの特徴ですね!
フランス国歌|マルセイエーズ
フランス共和国のイベントで必ず注目したいのは、国歌「マルセイエーズ」です。「今回はどんなマルセイエーズかな?」と楽しみになってしまうほど。のちほど、解説したいと考えていますが、2024年パリオリンピック開会式の「マルセイエーズ」は、いまのところ一番印象的なマルセイエーズです。
今回の「マルセイエーズ」は、アメリカ人ソプラノ歌手のナディーヌ・シエラが雨の中、フランス軍合唱団の伴奏で国歌を歌いました。ここでもやはり、グローバルにフランス人ではない歌手が歌ったのですね。
この記事では、あくまでも私のフィルターで厳選された部分のみを取り上げましたが、このほかにもアメリカ人歌手とゴスペル、フレンチシャンソン、アメージンググレイス、アベマリアなどの熱唱や大聖堂のプロジェクションマッピングなども綺麗でした。