フランス語を初めて学ぶ方にとって、冠詞や所有形容詞の使い分けは最初のハードルです。仏検5級の大問1では、この「名詞の前につく品詞」を正しく選べるかが問われます。
この記事では、名詞の前につく5種類の限定詞のルールをはじめ、最短で得点につなげるための実践的なコツ、本番レベルの練習問題は記事内で10問、加えて動画では20問を収録していますので、あわせて学習すると理解が一段と深まります。
初めての方でも「わかる」「解ける」ように構成していますので、ぜひ最後まで取り組んでみてください。
仏検5級とは?|レベル・難易度・合格率・出題範囲の基本情報
仏検(フランス語検定)は、日本の学習者が「フランス語の習熟度を客観的に測る」ための資格試験です。5級はその最初のステップで、やさしいフランス語の基礎が中心の内容です。
仏検5級のレベルと学習時間
試験日程・合格率・合格基準点
試験構成(筆記と聞き取り)
筆記(60点・30分)
- 大問1:名詞の前につく品詞(冠詞・形容詞)
- 大問2〜7:語順・活用・会話文など
聞き取り(40点・15分)
- 応答・数字・短文理解など
文法の基礎がしっかりしていると、4級・3級にもスムーズに進めるので、最初の一歩として最適です。
▶︎ 仏検5級の全体像、おすすめの問題集や単語集を知りたい方はこちら
仏検5級 大問1はどんな問題?|「名詞の前につく品詞」を選ぶ出題形式を理解する
大問1では、名詞の前に来る適切な語(冠詞・所有形容詞など)を選ぶ問題が5問出されます。
形式は 3つの選択肢から選ぶだけなので、ポイントを押さえれば確実に得点できます。
大問1で問われる5つの品詞(限定詞)
出題されるのは、フランス語の3つの冠詞(定冠詞、不定冠詞、部分冠詞)と所有形容詞、指示形容詞です。
満点を取るために必要な2つの力
① 名詞の性(男性・女性)と数(単数・複数)がわかる
② 文の意味をざっくり読み取る
大問1の配点と平均的な難易度
- 配点:10点(5問×2点)
- 難易度:基本レベルで、対策すれば満点がねらえる
名詞の前につく5種類の品詞をまとめて理解しよう
(定冠詞・不定冠詞・部分冠詞・所有形容詞・指示形容詞)
定冠詞(le / la / les / l’)|特定されたもの・好み・総称を表す
定冠詞は、 「その〜」「〜という種類全体」「好み」 などに使います。
- 特定された名詞
ひとつ・複数のものをさす - 唯一
「この世の中にひとつしかない」ものを表す - 総称
対象となる種類全体を表す
男性形・女性形・複数の使い分け
定冠詞のle(ル)
定冠詞の le(ル)は、男性単数名詞につきます。
例:le livre(その本)
定冠詞のla(ラ)
定冠詞の la(ラ)は、女性単数名詞につきます。
例:la voiture(その車)
*母音や無音のh(▶︎詳しい解説はこちら)で始まる単数名詞には、母音を省略して、アポストロフをつけて、l’ の形になります。このことをエリジオン(▶︎詳しい解説はこちら)といいます。
例:le homme → l’homme(その男性/ひと)
例:la école → l’école(その学校)
定冠詞のles(レ)
定冠詞の les(レ)は、複数名詞につきます。
例:les livres(その本)
例:les voitures(それらの車)
*母音や無音のh(▶︎詳しい解説はこちら)で始まる複数名詞は、les の s と次の母音とつながって、リエゾン(▶︎詳しい解説はこちら)します。
例:les hommes(その男性/ひとたち)
例:les écoles(それらの学校)
不定冠詞(un / une / des)|「あるひとつ」「いくつか」を表す
基本の使い方
- 特定されていない名詞
ひとつ・複数のものをさす
不定冠詞のun(アン)
定冠詞の un(アン)は、男性単数名詞につきます。
例:un livre(あるひとつの本)
*母音や無音のh(▶︎詳しい解説はこちら)で始まる男性単数名詞は、des の s と次の母音とつながって、リエゾン(▶︎詳しい解説はこちら)します。
例:un homme(あるひとりの男性/ひと)
不定冠詞のune(ユヌ)
定冠詞の une(ユヌ)は、女性単数名詞につきます。
例:une voiture(あるひとつの車)
*母音や無音のh(▶︎詳しい解説はこちら)で始まる男性単数名詞は、desのsと次の母音とつながって、アンシェヌマン(▶︎詳しい解説はこちら)します。
例:une école(あるひとつの学校)
不定冠詞のdes(デ)
定冠詞の des(デ)は、複数名詞につきます。
例:des livres(いくつかの本)
例:des voitures(いくつかの車)
*母音や無音のh(▶︎詳しい解説はこちら)で始まる複数名詞は、desのsと次の母音とつながって、リエゾン(▶︎詳しい解説はこちら)します。
例:des hommes(何人かの男性/ひとたち)
例:des écoles(いくつかの学校)
部分冠詞(du / de la / de l’)|数えられない名詞の量を表す
数えられない名詞には 部分冠詞 を使います。
- 数ではなく量でとらえて伝える冠詞
数えられない名詞につく、というのがポイント!
数えられるものの一部分や概念を表す名詞にも使う!
*そもそも、数えられるのであれば、不定冠詞のdesや数詞、数量表現を使います。
部分冠詞とは?
「水・ワイン・砂糖」などの量を表す
数えられる名詞でも「一部」を表すときに使う
部分冠詞のdu(デュ)
部分冠詞の du(デュ)は、男性単数名詞につきます。
例:du vin(ワイン)
部分冠詞のde la(ドゥ ラ)
定冠詞の de la(ドゥ ラ)は、女性単数名詞につきます。
例:de la bière(ビール)
部分冠詞のde l’
定冠詞の de l’ は、母音、無音のh(▶︎詳しい解説はこちら)ではじまる単数名詞につきます。
例:de l’eau(水)
所有形容詞(mon / ma / mes など)|名詞の性と数に一致する
ポイントは、所有者の性別ではなく「名詞」側に合わせる こと。
所有形容詞 mon ma mes / ton ta tes / son sa ses / notre nos / votre vos / leur leurs
所有の対象となる名詞の性と数に一致する
「所有の対象となる名詞」というのが、ポイントです!
所有者に一致しない理由
sa mère(彼の母 / 彼女の母)
→ “母”(mère)が女性名詞だから sa
母音・無音h で mon を使う特例
mon école(私の学校)
→ 女性名詞だが、音のつながりのため mon を使う
典型的ひっかけ
son école(彼女の学校)
→ 彼女=女性でも、名詞が母音始まりなので son
指示形容詞(ce / cette / cet / ces)|「この・その・あの」
この・その・あの
指し示す名詞の対象となる名詞の性と数に一致する
指示形容詞のce(ス)
指示形容詞の ce(ス)は、男性単数名詞につきます。
例:ce pantalon(このズボン)
指示形容詞のcette(セットゥ)
指示形容詞の cette(セットゥ)は、女性単数名詞につきます。
例:cette fleur(この花)
指示形容詞のces(セ)は男女同形
指示形容詞の ces(セ)は、複数名詞につきます。
例:ces pantalons(これらのズボン)
例:ces fleurs(これらの花)
例:ces lunettes(このメガネ)
指示形容詞のcet(セ)を使う場面
指示形容詞の cet(セ)は、母音、無音のhで始まる男性単数名詞につきます。
例:cet arbre(この木)
仏検5級 大問1のコツ|冠詞を素早く選ぶ思考手順
大問1は、手順を覚えれば一瞬で解けます。

仏検5級大問1は、選択肢3つのなかから選ぶという出題形式ですので、実際には難易度はそれほど高くないです。練習問題では、すこし厳しめに準備していきましょう。
名詞の性・数をまず確認する
冠詞・形容詞はここでほぼ決まる。
文脈で「特定 or 非特定」「量」を判断する
- 好み・習慣 → 定冠詞
- 数えられないもの → 部分冠詞
- 「あるひとつ」 → 不定冠詞
好み・習慣は定冠詞と覚える
例:J’aime le chocolat.
所有形容詞は「名詞側」に合わせる
例:sa voiture(彼の車/彼女の車)
冠詞なしになるケースがあるかを逆算する
→ ほとんどが「冠詞が必須」。消去法に強い。
【20問】仏検5級 大問1の練習問題|本番より少し難しめ
1
Je bois ( ) eau.
わたしは水を飲む。
2
J’aime ( ) café.
わたしはコーヒーが好き。
3
Vous connaissez ( ) bon restaurant?
あなたはいいレストランを知っていますか?
4
Je connais ( ) chanson française.
私はこのフランスの歌を知っている
5
( ) fils est très gentil.
彼女の息子はとてもやさしい
6
Il y a encore ( ) fromage ?
まだチーズがありますか?
7
Elle n’aime pas ( ) chiens.
彼女は犬が好きではない
8
Elle porte ( ) robe bleue.
彼女は青いドレスを着ている
9
Il travaille dans ( ) hôtel.
彼はこのホテルで働いている
10
( ) femme s’appelle marie.
彼の妻はマリーといいます。
【全問解説】仏検5級 大問1|ていねいで分かりやすい解説
1
Je bois de l’eau.
わたしは水を飲む。
.
部分冠詞
「水」は数えられない名詞。母音ではじまるので、de l’ を使う。
2
J’aimele café.
わたしはコーヒーが好き。
.
定冠詞
好みをいうときは、原則、定冠詞を使う。
数えられない名詞には、単数の le/la
(*数えられる名詞には、複数の les)
コーヒーは、数えられない名詞の男性単数なので、le となる。
3
Vous connaissez un bon restaurant?
あなたはいいレストランを知っていますか?
.
不定冠詞
ここでは、「あるひとつの」の意味。restautrant は男性名詞なので、un となる。restaurant が男性名詞だということを知らなくても、形容詞 bon が男性単数なのも手がかりになる。
4
Je connaiscette chanson française.
私はこのフランスの歌を知っている
.
指示形容詞
chanson は女性名詞なので cette となる。chanson が女性名詞だということを知らなくても、形容詞 française が女性単数なのも手がかりになる。
5
Son fils est très gentil.
彼女の息子はとてもやさしい
.
所有形容詞
fils は男性単数なので son となる。「彼女の」につられて、sa としないように注意。
6
Il y a encore du fromage ?
まだチーズがありますか?
.
部分冠詞
fromage は男性単数なので、du となる。数えられるものの一部分を表すことができる。
7
Elle n’aime pas les chiens.
彼女は犬が好きではない
.
定冠詞
好みをいうときは、原則、定冠詞を使う。
数えられる名詞には、複数の les
(*数えられない名詞には、単数の le/la)
犬は、数えられる名詞の複数なので、les となる。
8
Elle porte une robe bleue.
彼女は青いドレスを着ている
.
不定冠詞
ここでは、「あるひとつの」の意味。robe は女性名詞なので、une となる。robe が女性名詞だということを知らなくても、形容詞 bleue が女性単数なのも手がかりになる。
9
Il travaille dans cet hôtel.
彼はこのホテルで働いている
.
指示形容詞
hôtel は、男性単数名詞。無音のh ではじまる男性単数名詞には cet がつく。
10
Sa femme s’appelle marie.
彼の妻はマリーといいます。
.
所有形容詞
femme は女性単数なので sa となる。「彼の」につられて、son としないように注意。
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