私はフランス語と出会い、フランス語を教えるようになり、生活の中に常にフランスの存在があり、そのなかでも、バラを育てるという趣味を通して、フランスと深く通じることができるようになったと思います。
私のバラ栽培のスタートは2019年、この年は生活に、特に時間的な余裕がぱっっっと広がり、これまで忙しくてできなかったあらゆることを始めた年でもあり、これからの人生の時間の使い道をさがしていた時期でもありました。
人生ではじめて育てたバラは、「ラ・フランス」というバラで、逆境のなか働いていたときの大先輩の同僚の先生が、「この花はあなたのようだ」と言ってくれたことがきっかけで、自分の分身のように感じられる思い出のバラでもあります。その同僚曰く、ラ・フランスは「害虫に強く、美しい」らしいです。
ほどなくして、バラのエピソードとフランスの歴史・文化についても盛り込まれた、魅力的な1冊の本に出会ったのでここに紹介したいと思います。
>>>この記事では、❤️ナ ポ レ オ ン 皇 妃 ジ ョ ゼ フ ィ ー ヌについて書いています。
ヨーロッパ|バラの名前をめぐる旅
「ヨーロッパ バラの名前をめぐる旅」というタイトルからして、わくわくします。この本のおもな項目は以下の通り。私は特に、フランスの三人の女性❤️に心惹かれています。
❤️ナ ポ レ オ ン 皇 妃 ジ ョ ゼ フ ィ ー ヌ
🔹ピ エ ー ル = ジ ョ ゼ フ ・ ル ド ゥ ー テ
🔹ピ エ ー ル ・ ド ・ ロ ン サ ー ル
ウ ィ リ ア ム ・ シ エ イ ク ス ピ ア
ウ ィ リ ア ム ・ モ リ ス
❤️コレット
❤️マ リ ー ・ ア ン ト ワ ネ ッ ト
一人目は、ナポレオン妃ジョゼフィーヌ。ナポレオン御用達ジュエラーCHAUMETのジョゼフィーヌコレクション(私の結婚指輪と婚約指輪)に一目惚れして以来、歴史上の人物として、気になっていて、バラ栽培の先駆者であることも知っていたので、この本に紹介されているような旅をいつか実現したいなと思っています。
ちなみに、ルドゥーテはベルギー出身で画家一家に育ち、若いときにパリに出てきて、どんどんその才能を認められ、マリーアントワネットの素描画家になったり、ジョゼフィーヌ妃からも信頼され、マルメゾンのバラを描いたりと、(さらにはナポレオンの娘の絵の先生だったことも)宮廷画家として活躍したそうです。
それから、フランス語を学び初めの頃の、世界史の授業でフランス史を学んだ際に気になって仕方がなかった、王妃マリーアントワネット。「ベルサイユのばら」を読んでいたこともあり、彼女とバラの関係はやっぱり気になるところです。
ピエール・ド・ロンサールは、16世紀の詩人です。わたしにとって、ずっと気になるバラでもあったし、フランス文学を学んだものとして、気になるひとです。いつか庭を持てたら、必ず育てたいバラのひとつ!
最後に、フランス人女性作家のコレット。彼女がバラの愛好家であることを知らなかったので、この機会にもっと詳しくなりたいと思っています。
エンプレス・ジョゼフィーヌ
この本では、彼女の代名詞とも言える「エンプレス・ジョゼフィーヌ」というバラを紹介しています。フランスに訪れた際は、必ず訪問したかったマルメゾン城についてもしっかりと書かれています。
Empress Joséphine
(エンプレス・ジョゼフィーヌ)
オールドローズ(ガリカ)一季咲き
作出:1815年ごろ(作出者不明)
*ジョゼフィーヌ妃への亡くなった直後に、マルメゾンにあったバラにその名がつけられたという説が有力。
マリー=ジョゼフ=ローズ
ナポレオン妃ジョゼフィーヌとして知られる彼女は、カリブ海に浮かぶフランス領マルティニーク島の出身で、農園主の娘として1763年に生まれました。正式なファーストネームは、マリー=ジョゼフ=ローズ。名前の中に、バラ(ローズ)が入っているなんて、素敵です。
彼女は16歳でフランス貴族と結婚のためにパリに移り住みますが、程なくしてフランス革命で夫が処刑されてしまい、彼女自らも処刑寸前という目にあったそうです。
かろうじて生き延びた彼女は、貴族たちの愛人として裕福でありながらも刹那的な日々を送っていました。そこに、彼女に恋をしたナポレオンが登場します。若き軍人ナポレオンと結婚しますが、若い愛人たちとの恋も続いていたそうです。
>>> ナポレオンにちなんだバラ(このバラの花びらがすきです)
Châpeau de Napoléon
(シャポー・ド・ナポレオン)
オールドローズ(モス)一季咲き
作出:1827年ごろ(フランス Vibert作)
*蕾がナポレオンの帽子のかたちに似ていることで、この名が名付けられた。
ナポレオンが皇帝の座につくと、ローマ法王によって、ジョゼフィーヌはフランス皇妃として冠を授かります。パリのチュイルリー宮殿に住みながら、マルメゾン城に通う生活だったそうですが、終わりを迎えます。その理由は、ナポレオンとの間に後継者となる子どもが授からなかったため。そうして離婚を宣言され、パリのエリゼ宮が与えられたとのこと(豪華ですね・・・)でも、ジョゼフィーヌはほとんどの時間をマルメゾン城で過ごしたそうです。1814年51歳で生涯を閉じました。
マルメゾン城の庭
ジョゼフィーヌ自慢の温室
現在は城の周囲のみに広がる庭は、当時700ヘクタールを超える広大な庭園だったとのとのこと。なかでも、温室がすごかったそうです。その温室には広間や客間があり、庭を流れる川を小舟に乗って、温室を案内していたというから驚きです。
また、世界各地の植物を集めたりとフランスにはじめて紹介された植物も多くあったそうです。ブーゲンビリアやヤシの木々が繁る、生まれ故郷のマルティニークに想いを馳せていたのかもしれません。常夏の植物は温室にはよく見かけますが、当時としてはかなりの最先端だったのではないか?と想像されます。
ジョゼフィーヌの薔薇への愛
ジョゼフィーヌの薔薇への愛は、いろいろなところから垣間見ることができますね。まず、自分をバラで飾る、城の花瓶は花であふれるなど、お花好き、バラ好きには本当にうらやましい限りの楽しみ方です。もうひとつは、よく知られていることですが、バラの育種家を城に招いて、多くの新種のバラを生み出したことです。
マルメゾンの庭のバラは約250種で、その多くが近代のバラの基となっているそうです。彼女の功績が認められ、彼女がバラの女王と呼ばれる由縁でもあります。
ルドゥーテのバラのスケッチ
彼女のもう一つの功績は、庭の花々を植物画家たちに描かせ、記録したことです。いちばん有名なのは、宮廷画家のルドゥーテですね。ルドゥーテは、当時ジョセフィーヌの命で、マルメゾン城にあったバラのほとんどを描き、当時のフランスの代表的なバラを加えて『バラ図鑑(Les Roses)』を出版したといいます。
出版は彼女が亡くなった3年後、いま私たちが手にすることができるのは復刻版で、彼女を偲んで名付けられた薔薇が「エンプレス・ジョゼフィーヌ」。私もこのバラを育てたいです!!
ルドゥーテのスケッチに色をつけられる「ぬり絵」もありました。いいですね!
マルメゾンの想い出
私が2019年に始めて挑戦した「ラ・フランス」栽培とほぼ同時に購入したのは、「マルメゾンの思い出」というバラでした。育てるのがむずかしく、2年目あたりで枯らしてしまいました。生活にもっとゆとりが生まれたら、必ずまた育てたい!うっとりするほど白っぽい薄いピンクの花弁が日の光にあたると本当に美しかったです。
Souvenir de la Malmaison
(スヴニール・ド・ラ・マルメゾン)
オールドローズ(ブルボン)四季咲き
作出:1843年ごろ(フランス Béluze作)
*「マルメゾンの想い出」と名付けられた、ジョゼフィーヌ妃へのオマージュとも言えるバラ。別名「美と芳香の女王」
マルメゾン城
メルメゾン城にはまだ行ったことがないけれど、もし訪れることができれば、ぜひバラの季節である5月に訪れたいと思います。ジョセフィーヌが暮らしたマルメゾン城はパリ郊外に今も残っていて、復元され、博物館として公開されているとのことです。
バラ園|ライ・レ・ローズ
ジョゼフィーヌが激動の時代を生きたこと、カリブ海の南の島に一攫千金を求めて渡った小貴族の一家にローズという名前で生まれたこと、そしてバラを愛してフランス全土にバラブームを引き起こしたこと、すべてが彼女の魅力に思えて、どんな人だったのかともっともっと知りたくなってしまいます。
マルメゾン城のバラは彼女が亡くなった後は、しっかりと管理されなかったそうです。それから100年後にジュール・グラブロー(Jules Léopold Gravereaux)という実業家が彼女の薔薇への想いを受け継ぎました。
彼はフランスの老舗百貨店「ボン・マルシェ」最高経営責任者であり、1892年、パリの南約8kmに位置するL’Haÿ村に土地を購入。そこで彼は、バラだけに特化した史上初の完全な庭園、ライ・レ・ローズ(L’Haÿ-les-Roses)(現:ヴァル・ドゥ・マルヌ・バラ園)を造りました。
ライ・レ・ローズ(現:ヴァル・ドゥ・マルヌ・バラ園)は1899年に開園、18ヘクタールの広大な敷地にはおよそ3300種の薔薇が栽培されているということです。
フランスのバラの歴史にとって、欠かせないひとこそがナポレオン妃ジョゼフィーヌです。そんなバラの歴史を持つフランスにある世界で最初の、そして世界最大級の「バラ園」ですが、バラの季節に訪れたら、どんなに素晴らしいのだろうか?とため息がでてしまいます。
世界初にして、世界最大級のバラ園がフランスにあったとは、知らなかったので調べてよかったです。バラの季節に必ず訪れたいと思います!