フランス語を学習するうえで、避けては通れない「動詞の活用」。楽しみながらも、しっかり理解して、動詞の活用を効率よく学ぶことができたら最高ですね。とはいえ、動詞の活用はフランス語学習においても多くの学習者さんがつまづいてしまうポイントでもあります。
今回は、フランス語の動詞の活用の種類と覚え方について、動詞の活用を種類別に分類し、活用を覚えるコツをお伝えしたいと思います。
フランス語|動詞(活用)の種類
はじめに、フランス語の動詞の活用を覚えたいけれど、先が長そうで途方に暮れてしまう。どれくらいの種類の活用の規則を覚えたらよいのか、知りたいです、というお悩みにお答えします。
活用の種類でいえば、大きく分ければ3種類、うち、不規則動詞などを丁寧に覚えていくとなると、5から10種類くらいのパターンを覚えれば、現在形の活用をまんべんなく覚えることができるようになると思います。
フランス語動詞の種類の分類として、この記事では、
- 規則動詞
- 不規則動詞
という区別で説明していきます。日本で出版のフランス語書籍などでは、この種別を採用している場合が多いからです。
また、フランスの小学校などの公教育では、動詞を3つにわけて学習します。
- 1er groupe(第1グループ)第1群規則動詞(-er動詞)
- 2ème groupe(第2グループ)第2群規則動詞(-ir動詞)
- 3ème groupe(第3グループ)それ以外の動詞(不規則動詞)
第1グループは、第1群規則動詞(-er動詞)、第2グループは、第2群規則動詞(-ir動詞)そして、第3グループは、それ以外の動詞(不規則動詞)という分類となります。
不規則動詞と規則動詞
まず、フランス語の動詞は、規則動詞か不規則動詞かというおおきな2つの分類ができます。
規則動詞には、
- 第1群規則動詞(er動詞)
- 第2群規則動詞(ir動詞)
があります。規則動詞だけで、フランス語動詞のおよそ9割を占めています。
不規則動詞は、第3群と呼ばれることもありますが、規則動詞以外の「その他の動詞」が不規則動詞になります。
不規則動詞はさらに、
不定詞(動詞の活用しないかたち)が
- -irで終わる
- -oirで終わる
- -reで終わる
の、3つに分類することができます。
規則動詞
フランス語動詞の9割を占める規則動詞は、以下の2種類に分けられます。
第1群規則動詞(er動詞)
フランス語動詞のおよそ8-9割を占める「第1群規則動詞」は、不定詞の語尾がerで終わることから、er動詞とも呼ばれます。以下、er動詞とします。
【ER動詞の語幹】
不定詞(動詞の活用しない形のこと)からerをのぞいたもの
【ER動詞の活用語尾】
Je -e
Tu -es
Il -e
Nous -ons
Vous -ez
Ils -ent
er動詞の活用の基本を覚える際に、発音のルールにも気を配らなければなりません。具体的には、活用を覚える際、子音ではじまる動詞と母音/無音のhではじまる動詞にわけて、活用を覚えるだけでなく、発音できるようにしていく必要があります。
基本的な第1群規則動詞
parler, travailler, regarder, chanter, rester, voyager, aimer, habiter, étudier, envoyer, acheter, jeter, préférer, commencer, placer, manger, donner, chercher, dîner, rentrer, téléphoner, fermer, penser, marcher, visiter, passer, trouver, montrer, préparer, arriver, écouter, inviter, lever, nettoyer, payer, employer, espérer
er動詞の基本的な形を覚えた後は、特殊な変化をするer動詞についても覚えていきます。
第2群規則動詞(ir動詞)
フランス語動詞のおよそ1割(以下)を占める「第2群規則動詞」は、不定詞の語尾がirで終わることから、「ir動詞」とも呼ばれます。以下、ir動詞とします。
【IR動詞の語幹】
不定詞(動詞の活用しない形のこと)からrをのぞいたもの
【IR動詞の活用語尾】
Je -s
Tu -s
Il -t
Nous -ssons
Vous -ssez
Ils -ssent
第2群規則動詞の数は少ないです。以下の動詞をまずは覚えておくとよいでしょう!
基本的な第2群規則動詞
choisir, obéir, réussir, finir, réfléchir, grandir
不規則動詞
フランス語動詞のおよそ9割が規則動詞なので、ざっくり残りの1割程度が不規則動詞です。割合としては少なく、動詞の数としてもそう多くありません。でも、よく使われる動詞ばかりなので、しっかりと習得する必要があります。
ここでは、最重要の4つの動詞と、その他の不規則動詞を3種類に分類しています。
不規則動詞の分類
・最重要4動詞+α(être, avoir, aller, venir, faire)
・-irで終わる不規則動詞
・-oirで終わる不規則動詞
・-reで終わる不規則動詞
不規則動詞にこそ、日常よく使う大切な動詞がたくさんありますので、不規則動詞をしっかりと習得していく必要があります。
最重要4動詞 +α
もっとも重要と思われる4つのフランス語動詞は、
- être(🇬🇧be動詞)
- avoir(🇬🇧have動詞)
- aller(🇬🇧go)
- venir(🇬🇧come)
です。
これら4つの動詞を使って、現在以外の時制を作ることができるという点において、重要であるばかりでなく、日常で使われる頻度は高くなります。
例えば、複合時制を作るとき、être/avoirのいずれかを使います。受動態を作るときは、êtreを使います。また、会話でよく使われる「近接未来」は aller、「近接過去」は venir を使うといった具合です。
あと2つ加えるとしたら、英語のdoにあたる、faireです。この動詞は、使役を作ることができます。さらに、英語のtakeにあたる、prendreも重要度が高いといえるでしょう。
-irで終わる不規則動詞
第2群規則動詞も、irで終わりますが、それ以外のirで終わる動詞が、このグループに該当します。partir型の活用とoffrir, ouvrir型の活用があります。
-irで終わる動詞
①partir, sortir, dormir, sentir, servir, courir
②offrir, ouvrir
-oirで終わる 不規則動詞
このグループの活用の特徴としては、人称代名詞の単数(je, tu , il, elle)と複数(nous, vous, ils, elles)とで、わけて分析することができます。おもに次の4つの分類で活用を覚えていきます。
-oirで終わる動詞
①pouvoir, vouloir
②voir, croire
③savoir, devoir, boire
④apercevoir, recevoir
-reで終わる 不規則動詞
このグループの活用も、先に見てきた不規則動詞の特徴と似ています。prendre型の活用、rendre型の活用、mettre型の活用、その他(-reで終わる不規則動詞には、いろいろな活用のバリエーションがあります)の区別で活用を覚えていきます。
-reで終わる動詞
prendre, comprendre, apprendre,
entendre, répondre, attendre, descendre, vendre, rendre,
mettre, permettre, promettre,
connaître, dire, vivre, vaincre, craindre, résoudre, battre, lire, écrire, conduire
代名動詞
代名動詞の活用は、これまでみてきた活用の規則がそのまま適用されますが、動詞の前におく再帰代名詞も変化をするので、あわせて覚える必要があります。
基本的な代名動詞
s’appeler, s’amuser, s’asseoir, s’habiller, se lever, se réveiller, se laver, se coucher, se doucher, se promener, s’intéresser, se souvenir
不規則動詞の活用の覚え方
動詞の活用は、【語幹と活用語尾】を覚えていくことから始めます。最重要の4つの動詞と、その他の不規則動詞を3種類に分類して覚えます。【活用語尾】については、代表的な3つのパターンを紹介します。
最重要4動詞 +α|覚え方
最重要4動詞 は不規則動詞の中でも、かなり変則的に活用しますので、個別に覚えていきます。
不規則動詞の活用パターン3つ
不規則動詞といっても、不規則のなかにも、それぞれの規則を見つけることができますので、それらを理解し、覚えていくことで、効率よく動詞の活用を学習することが可能です。
【語幹】
*個別に覚えていく必要があります
活用語尾 パターン①:ir動詞、re動詞の一部
【活用語尾パターン①】
Je -s
Tu -s
Il -t
Nous -ons
Vous -ez
Ils -ent
活用語尾 パターン②:pouvoir, vouloir, valoir
【活用語尾パターン②】
Je -x
Tu -x
Il -t
Nous -ons
Vous -ez
Ils -ent
活用語尾 パターン③:re動詞
【活用語尾パターン③】
Je -s
Tu -s
Il –
Nous -ons
Vous -ez
Ils -ent
動詞の全体像
まずは頭の中にフランス語動詞の全体像をイメージしておくと、学習段階の現在地を確かめることができます。さらには、奥深いフランス語の世界を垣間見ることで、学習のモチベーションも上がります!
動詞の活用とは何か?
そもそも「フランス語の動詞の活用」ってなんですか?という疑問にはこちらの記事で簡潔にお答えしていますので、あわせてご覧ください。
動詞の活用|覚え方
フランス語学習をはじめて、いくつかのつまづきポイントがあるかとおもいますが、そのひとつに、「動詞の活用が覚えられない」という悩みがあります。
そのお悩みに応えるべく、私なりの解決策を【心構え編】と【実践編(この記事)】にわけて、詳しく解説していますので、【心構え編】の記事もあわせてご覧ください。
活用の覚え方(心構え編)
活用を覚えるためのウォーミングアップとしてこの記事を書きました。効果的に覚えるには、まずは何をしたらよいのか?どんな練習方法があるのか?などについて書いています。
フランス語|動詞の法(叙法)と時制
動詞の基本をしっかり理解した上で、活用を覚えていくことも効率的な学習といえます。この記事では、フランス語の動詞の基礎として、法と時制について詳細に解説しています。
動詞の活用|おすすめ【必携】本
フランス語学習のなかでも、動詞の活用を学習していると、途方に暮れてしまうこともあるかと思います。ひとつずつ、丁寧に理解し、覚えていくことが欠かせないということは、お分かりいただけたかと思います。
「さらにもう一歩進みたい!もっと安心したい!学習を効率的に進めたい!」など、いろいろな思いが生まれたかもしれません。
そこで、おすすめしたいのが、こちら!「ベシュレルのみんなのための活用」(Bescherelle – La conjugaison pour tous)です。
「フランス語動詞の活用といえばこの本!」というくらい定番中の定番。フランス家庭の一家に一冊必ずあるといっていいほど、重宝する動詞の活用本です。
いまどき、どんなに細かいことでもインターネットで調べればすぐに見つけることはできるかもしれませんし、この記事でも探している動詞の活用についての情報は得られたかもしれません。
でも、フランス語学習をするうえで欠かせない、揺るぎない知識は、そんなに簡単に見つけてもあまり意味はないかもしれません。すぐ忘れてしまうかもしれないですし、何しろ苦労して身につけていないので、本当の意味で身に付いていないはずです。
そいういったことからも、本を使ってじっくり学習する意義をここでしっかりと強調しておきたいと思います。これからもずっとフランス語を長く学習していきた方は、こちらの本を1冊持っておくのがよいと思います。
活用の詳細なパターンを知るということ
この記事では、フランス語の動詞の活用の全体像をわかりやすくまとめました。それぞれの動詞(活用)の種類については、それぞれの活用の詳細なパターンを知るための記事を書いています。「もっと知りたい!」という方は、フランス語動詞を完璧にマスターするべく、個別記事をお読みいただければと思います。
やはり、フランス語学習のどのレベルにおいても、動詞の学習は要と言っていいほど大切な項目です。動詞を使いこなせなければ、日常会話での意思疎通にも困ってしまいますし、上級レベルに行けば行くほど、ちょっとしたニュアンスや、論理的な思考を言語化するために必須になります。
「動詞を制するものは、フランス語を制す」などとも言われる所以でもあります。